2012/03/27

未来をひらくロボット/ロボットスーツHALⓇ福祉用

「サイボーグ型ロボット」

何だかSFっぽい響きですが、これからお伝えするのは、福祉用の製品として、すでに様々な施設などで活用されているロボットのお話。

どんなロボットに会えるのか、わくわくしながら向かった先は、宇都宮市のマロニエプラザで開催されていた「とちぎ産業振興プロジェクト技術交流展示会」というイベント。

技術者らしき方々が、様々な企業の先端技術に触れ、交流を深めていましたが、茨城県つくば市に本社のある、CYBERDYNE(サイバーダイン)株式会社も、注目を集めていたブースのひとつ。

写真:ロボットスーツHAL(ハル)福祉用

そこに展示されていたのは、「ロボットスーツHAL(ハル)福祉用」という、見た目もちょっとSFチックな、目を引く製品。
興味津々の私たちに、ていねいに解説してくださったのは、営業担当の久野孝稔(くの・たかとし)さん。

脚が不自由な方の支援用に開発されたという、ロボットスーツHAL(ハル)福祉用は、人間の身体に装着して、その機能を拡張したり、増幅したりすることができる世界初のサイボーグ型ロボット。

「人が体を動かそうとすると、脳が発した“動け”という命令が、神経を介して筋肉に伝わります。
そのとき、皮膚の表面に微弱な生体電位信号が現れるんです。
HAL(ハル)のセンサーはその信号を読み取り、ロボットをコントロールして、人の動作を支援するんですよ。」

写真:HALのセンサー部分

例えばイスから立ち上がろうとするときは、ラクにヒザを伸ばせるよう、モーターが力強く作動。
座るときは、腰からドスンと落ちないように、ヒザをゆっくり曲げるようサポート。
歩くときには、体重を載せた脚が曲がらないように支え、もう片方の脚を持ち上げて、前に振り出すように促す。

やっぱりSFの話では?と疑いたくなるようなすごい技術!

この技術を開発したのは、CYBERDYNE(サイバーダイン)株式会社の代表取締役CEOで、筑波大学大学院の山海嘉之(さんかい・よしゆき)教授。

山海教授は、「サイバニクス」と呼ばれる新しい研究領域を創出。
「サイバニクス」とは、情報・機械・ロボット技術などの工学の分野にとどまらず、人間の生体や心理、さらには社会の法や倫理、宗教まで、「人間」に関する様々な研究分野を視野に入れて、それらを融合・複合させながら、人の役に立つ技術を開発し、新たな世界をひらいていこうとするものだそうです。
会場のステージでは、久野さんによるロボットスーツHAL(ハル)のデモンストレーションも行われました。

久野さんの脚に取り付けられたセンサーから伸びるコード。
これをHAL(ハル)につなぐと、ロボットの脚が、久野さんの動きにあわせて伸びたり曲がったり。

写真:久野さんの動きにあわせて動くHAL

「どなたか体験してみませんか?」
との呼びかけに、真っ先に手をあげた私。

体験用のため、センサーは腕に取り付けてもらいましたが、原理は同じ。
私の腕の動きにあわせて、HAL(ハル)の脚がヒョコヒョコ動く。
なんだか不思議な感覚。

写真:腕の動きに合わせてHALの足が動きます

すると久野さんが、曲げようとしていた私の腕を押さえ、動きを止めました。
HAL(ハル)も止まるのかと思いきや、そのままスッと脚を曲げる・・・。

HAL(ハル)は、実際の腕の動きとは関係なく、電気信号に変換された私の命令、つまり「曲がれ」という「意思」に反応して動くんです。

脚が不自由な方の中には、脳から出た信号がうまく筋肉に伝わらないせいで、脚が動かしにくくなっている場合があります。
そういう方が、HAL(ハル)のサポートを受けてトレーニングしているうちに、筋肉や神経が刺激され、本来の機能の回復につながるケースもあるそうです。

中には、歩行困難と思われていた脳性マヒの女性が、半年間のトレーニングを経て、結婚式のバージンロードを自力で歩いたという、感動的なエピソードもあったそうです。

2012年2月末現在、全国で、131の病院や施設で、280台のロボットスーツHAL(ハル)が利用されているそうですが、県内でも、那須塩原市にある塩原温泉病院に導入されているとのこと。

HAL(ハル)には、靴底にも圧力を感知するセンサーがあり、コンピューターの画面上で、体のバランスを一目で確認することができます。

写真:コンピューター上の画面

このバランスを見ながら、それぞれの関節の曲げ伸ばしをどの程度の強さでサポートしたらよいかを判断し、トレーニングメニューを組むことができます。
その成果も画面上で確認できるので、利用者にとってもヤル気につながるそうです。
脚の運動支援のために開発され、普及しつつあるロボットスーツHAL(ハル)ですが、会場には開発中の全身用のスーツも展示されていました。

写真:全身用のHALスーツ

日々進化し、デザインも機能も洗練され、付属機器も充実しつつある、ロボットスーツHAL(ハル)。

「いろんな技術を持ったみなさんと交流し、パートナーを増やしていくことで、HAL(ハル)の可能性をもっともっと広げていきたいんです。」と久野さん。
各地の技術交流会や展示会に積極的に参加しているのも、単なるPRのためだけではなく、HAL(ハル)を進化させていくきっかけづくりでもあったんですね。

病院や施設に普及しつつあることで、リハビリ用ロボットとしての可能性も見えてきたHAL(ハル)。

全身用のスーツの開発が進むと、介護する側の重労働を軽減するロボットとして活用されることも期待されます。
昨年の大震災以降は、災害レスキュー用の全身スーツの開発にも力を入れているとのこと。

活躍の場を広げつつある、ロボットスーツHAL(ハル)が、私たちにどんな未来をひらいてくれるのか、今後ともおおいに注目していきたいと思います。

 

ロボットスーツHALⓇ福祉用

  • 両脚型、単脚型(右)、単脚型(左)
    現在の対応サイズは、身長145センチから185センチ、体重40キロから80キロの方。
  • Sサイズ=145~165cm(大腿長350~395mm、下腿長330~405mm)
    Mサイズ=150~170cm(大腿長365~410mm、下腿長345~420mm)
    Lサイズ=160~185cm(大腿長395~440mm、下腿長375~450mm)
    ※現在レンタルのみの利用になります。詳細は下記CYBERDYNE株式会社URLからお問い合わせください。
  • URL: http://www.cyberdyne.jp

※「CYBERDYNE」、「ロボットスーツ」、「HAL」、「ロボットスーツHAL」は、CYBERDYNE(株)の登録商標です。

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