2012/10/19

力を合わせて、大きなお仕事!/はばたき事業所(法人本部)

こんにちは! ナイチュウです。

障害者の就労支援を行っている事業所では、いかに仕事を確保するかってことが重要な課題です。
仕事が欲しいのは山々だけど、事業所の規模が小さいと、たくさんの仕事を受けられなかったり、納期に間に合わせるのが難しかったりします。

そんな時に効果を発揮するのが、共同受注のしくみ。
事業所同士が力を合わせ、仕事を分担しあったり、かわりばんこで担当したりするしくみです。

何度かご紹介した「とちぎセルプセンター」も、県レベルの共同受注窓口として活躍していますが、地域レベルでも、近隣の事業所が協力しあって、共同受注に取り組んでいるところがあると聞き、おじゃましてみました。

写真:NPO法人「はばたき」

日光市、旧今市市街の中心部にある、「NPO法人はばたき」。
お出迎えしてくれたのは、理事長の広瀬浩(ひろせ・ひろし)さん。

共同受注のお話を伺う前に、はばたき事業所の取組について、開所のいきさつから教えていただきました。

写真:広瀬浩(ひろせ・ひろし)さん

 

■みんなが同じ従業員として働ける場所づくり

 

「以前は、東京の授産施設に勤めていたんですが、障害のある方々の“働きたい”という強い思いを日々受け止めているうちに、障害の種別にかかわらず、働くことにスポットを当てた事業所を、いつか自分で立ち上げたいと思うようになったんです。」

平成15年、市内の企業から、「うちの工場の一角を使ってみませんか」と声をかけられ、ボランティア仲間とともに、ドアノブの組み付け作業を請け負うことになった広瀬さん。
工場から要求される作業の高いレベルに追いつくため、厳しい指導を受けながら事業を立ち上げ、障害のある方を少しずつ受け入れていったそうです。

「当時はホントに苦労しましたが、あの経験が今の活動の礎(いしずえ)になっています。」と広瀬さん。

平成18年10月、障害者自立支援法の成立とともに、旧藤原町にあった「まつぼっくり」という事業所と合併し、今の体制に。

写真:ドアノブ部品

現在、開設当時から請け負っているドアノブ部品の組み付け・検品作業のほか、お線香の計量・箱詰めや、木工品づくり、オリジナルプリントのポロシャツ・Tシャツづくりなどに取り組んでいるそうでチュ。

写真:お線香の箱詰め

お線香の箱詰め作業を行っているお部屋は、お香のかおりが漂い、落ち着いた雰囲気。
お線香の需要は、あまり景気に左右されないため、安定して受注できるんだって。

写真:プリントTシャツ

特殊インクを使ったプリントTシャツは、スポーツチームのTシャツや、イベント用のポロシャツなどの注文が入るそうです。
写真や絵など、画像データとしてパソコンに取り込めるデザインがあれば、簡単にプリントできるんだって。
ぼくもいくつかサンプルをお借りしてみました。似合うかな?

写真:作業中

精神障害や発達障害を抱える利用者が多いというはばたき事業所ですが、障害の種別に関係なく利用者を受け入れているとのこと。
「どんな障害を持つ方も一緒に働ける場所にしたい。
職員と利用者という垣根を超えて、みんな一緒に働く従業員という意識が浸透していくといいなと考えているんです。」
そう語る広瀬さん。

どの作業現場でも、事業所のみなさんが一丸になって仕事に取り組む様子が印象的でした。

■日光市と連携した共同受注事業

 

平成21年、大規模な景気対策として全国民に配られた定額給付金。
日光市内でも、37,000通にのぼる通知を市民に発送することになりました。
「発送作業を障害者施設に請け負わせてもらえませんか?」
リーマンショックの影響で、下請作業の受注量が激減する中、仕事獲得の絶好のチャンスだと考えた広瀬さんは、日光市役所に相談。

「決められた時期に、確実に発送すること・・・。
そのためのハードルはたくさんありましたが、当時日光市内にあった9事業所が共同で請け負うこととし、何とか市役所の了解を得ることができました。」

写真:働く広瀬さん

実際の作業にも、様々な苦労があったそうですが、大きな仕事を成し遂げたことで、市役所との信頼関係ができ、事業所同士のつながりも生まれるなど、様々な成果があったそうです。

「この成果をもとに、日光市内の事業所をメンバーとする共同受注のしくみをつくりました。
日光市役所からも、この取組を支援していただけることになり、共同受注のために営業活動を行う担当職員を1名配置することができました。」

日光市役所からは、公園清掃、駐輪場管理といった仕事のほか、市議会の議事録作成など、難しい仕事も任せていただけるようになりました。

事業所の2階におじゃますると、共同受注のルールづくりを担った職員・齋藤勲(さいとう・いさお)さんが、利用者の方と一緒に、この議事録作成の真っ最中でした。

写真:齋藤勲(さいとう・いさお)さん

齋藤さんは、民間企業での営業経験をもとに、共同受注のしくみがより実効性の高いものとして機能するよう、様々な工夫を取り入れたそうです。

「一般企業から受注を獲得するには、ライバルに立ち向かえる実力をつける必要があります。
そして、お客様の評価をいただき、常に作業品質が落ちないよう対策を講じることで、事業所の力にもなるし、仕事のリピートにもつながるんです。」

写真:受注フロー図

受注の手続きを分かりやすくフロー図にまとめ、納期に余裕がある場合、ない場合で対応の仕方を分けるなど、受注のルールを市内10箇所の事業所で共有。

併せて、各事業所がどんな作業に対応できるか、何人ぐらいで仕事ができるか、納品に使える車は何台あるか、そういった細かな情報を整理し、発注内容に応じて、公平でスムーズな受注先の調整ができるようにしているそうです。

発注してくださったお客さんには、アンケートをお願いして、改善すべき事項の洗い出しに努めているとのこと。

「おかげさまでお客様の評価も上々で、取組の効果があらわれてきています。」

平成21年度には、約100万円だった共同受注の実績額は、平成22年度には約200万円、平成23年度には400万円を超える金額まで伸びてきているそうです。

お隣の部屋では、今年から共同受注の担当職員として働いている阿久津直美(あくつ・なおみ)さんが、利用者の藍原隆(あいはら・たかし)さんと一緒に、講演会のテープ起こしをしていました。

写真:阿久津直美(あくつ・なおみ)さん

「略語や専門用語は、そのつど調べて、前後の文脈などから適当な言葉を推測しながら、文章に起こしていくので、結構時間がかかるんですよ。」と阿久津さん。

写真:藍原隆(あいはら・たかし)さん

藍原さんも、「強いなまりで言葉が聞き取りにくかったり、方言を標準語に直したり、そんな苦労もありますね。」

なにげなく目にしている議事録や講演録も、こうした苦労を経てできあがってるんでチュねえ。

共同受注の取組を通じ、いろいろな仕事の成果を積み重ねていくことで、「じゃあ、こんな仕事もできるのでは?」と、新たな仕事の相談につながっていく。

写真:ナイチュウ!と一緒の広瀬さん

「こうした取組が他の地域にも広がっていくといいなと思っています。
地域ごとに、いろいろ課題があると思いますが、最初から“できない”という結論を出さないことが大切ですね。」
最後にそう語ってくれた広瀬さん。

日光地域に、共同受注の取組を進めるための特別に良い条件がそろっていたわけではないように思います。
「できない」と決めつけずに、地域の課題、各事業所の課題をひとつひとつクリアしていくことに力を注いできた結果、こうした成果につながったんだなあ・・・。
お話を伺っていて、そんな風に感じたナイチュウでした。

事業所同士の連携を、自治体や企業のつながりに活かしていく。
手をつなぎ、力を合わせることで、可能性はいくらでも広がっていくんですね。

 

はばたき事業所(法人本部)

まつぼっくり事業所

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